そば好きの小窓

4章、最後は“美味いそば粉”と“旨いそばつゆ”

「手打ち」及び「手打式」「手打風」の定義

消費者庁所管の「生めん類の表示に関する公正競争規約」の「手打ち」の定義

第4条には、「手打ち(そば)」について次の定義がされています。

製めんに際し、(1)原料に加水して麩質(グルテン)が形成するように混練し、熟成させた後、(2)延棒で圧延し、(3)包丁でめん線状に裁断すること・・・・・その作業をすべて手作業により行うことをいう。ただし(4)混練作業のみを機械で行うことができる。
(数字・アンダーラインは条文になし)

そばに則して言えば、
(1)は・・・そばの「水回し」に該当
(2)は・・・そばの「のし」に該当
(3)は・・・そばの「切り」に該当します。
(4)は・・・「水回し」を機械でやっても「手打ちそば」と認めます、ということになります。

「手打式」「手打風」についての定義

同じく第4条で次のように定義されています。
製めんに際し、原料に加水して麩質(グルテン)が形成するように混練し、・・・・めん体の方向が交錯するように緩慢な方法により圧延し、包丁又は手切りに近いうす刃の切刃によって裁断することであって、その工程の全部又は一部を機械作業により行うことをいう。
(アンダーラインは条文になし)

工程の全部を機械作業で行っても「手打式」「手打風」と言えるとなると、「機械打ち」と「手打式」「手打風」の差は何なのでしょう?「○○式」「○○風」とは一体何者なのでしょう?
(大変面白いクイズになってしまいました)

一徹者・朴念仁たちによる「手打ち」の再定義

「生めん類の表示に関する公正競争規約」による安心と混乱

混練作業を機械でやっても「手打ち」と名乗れるということで、ほくそ笑んでいるそば屋も多くおられることでしょう。
一辺40センチ四方・高さ70センチ程度の「麺こねミキサー」を購入して、専らこれに頼っておられる店があるのも事実です。

何故なら、ともすると肩や腕を痛めるそば打ちで一番の重労働であり、一番心をこめた作業が要求される、また手打ちそばの味を決定する一番大事な工程である「水回し」を、機械でやっても「手打ち」として通用するなら、「商売」としてはこんな楽なことはありません。

しかし、手打ちそばの味を決定する「水回し」の工程(手・指・掌・感性を総動員)を機械任せにしていては、「手打ちなら美味い(はずだ)」と信じてそばを食べられるそば好きの方々が、救われません。(と私たちは思います)

そこで、以下のとおりそば好きの方々のために私たちが僭越ながら、「手打ち(そば)」の再定義をいたしたいと思います。

手打ちそばの再定義

製めんに際し、原料に数回に分けて加水して、麩質(グルテン)が形成されるよう手作業で混練した後、めん生地を延棒や機器を用いて緩慢な方法で圧延し、手包丁による摺り切り又は高度機器による瞬間裁断等でそば切断面の四隅に角が立つよう裁断するものをいう。

この定義に従ったもののみを「手打ちそば」とすれば、悪貨は良貨で駆逐され、そば好きの皆様は安心して店に入ることが出来るようになります・・・が・・・・・・・。

現実は、「看板」・「メニュー表」・「チラシ」・「ホームページ」等ではなく、「自分の舌」を信じて判別・判断されるしかないというところに行き着きそうです。
そば好きの皆様、頑張ってください。

「のし」と「切り」の新機器と採否

「のし」作業の新機器

「のし」の作業目的は、「水回し」により出来上がったそば生地に急加圧をかけることなく、隅々まで均一な厚さに圧延することにあります。
手作業では、希望の厚さにしかつ隅々まで厚さを均一にするのは中々難しいものです。
また、この作業は単純作業ですので、手作業より機械作業に向いている分野です。
現に、急加圧をかけてそば生地を傷めることはせず、緩慢なのばし作業で隅々まで圧延する機械が開発(愛知県江南市のメーカー)されており、性能は指定した厚さ(1ミリから自在)にしかも厚さのバラツキがありませんので、手作業ののしをはるかに凌ぐレベルで大量生産も可能です。
難点はただ一つ、機器の値が張ることです。

「切り」作業の新機器

「切り」の作業目的は、均一に圧延されたそば生地を畳んで、希望する切り幅に揃えて切ることにあります。
手作業による「切り」は、単純作業ですが、作業疲れに伴い切り幅に乱れが生じかねません。
一方、かっての「切り」の機器は上下に切刃を下す「押し切り型」ものでしたので、切断面は上の部分が膨んでしまい丁度「食パンの断面図」のようなものになっていました。
その後、種々改良が加えられ切刃を斜めに入れる「摺り切り型」のものも開発される等、各段の進歩を遂げましたが、量産には今一歩でした。

しかし、裁断の発想を変え両刃で瞬間裁断する方法で「そば切断面の四隅に角が立つ」と「量産」を両立させる機器が開発されました(のし機器と同じく愛知県江南市のメーカー)
手作業が、「切り幅均一」と「量産」に難点がある以上、両方が満足できる「機器切り」に軍配があがります。
難点はただ一つ、機器の価格が張ることです。

新機器の採否について

「のし」「切り」という単純作業には、手作業・手仕事より機械連続作業の方が向いているように判断されます。
「水回し」「のし」「切り」の全工程を同一人が行うのは「聞こえ」はいいのですが、所詮「マンパワー」で、量産の道は見えてきません。
手仕事には限度があり、限度を超えれば精度に乱れが生じ、限度オーバーが続けば体も壊します。
上記のとおり、「のし」と「切り」は機器作業が手仕事を凌駕する時代になっていますので、ここは素直に機器に頼るのが、量産の道を拓くことになると確信いたします。

「水回し・練り」機器の将来性

上記の手打ちそばの再定義の項で述べたように、「水回し」だけは手作業でやらなければ、絶対美味いそばは出来ないというのが、現時点での見解です。
「10本の指先のセンサー・掌の感度・経験知等に優るものなし」というのが、その理由です。
(自信とこの精神の拠り所をなくしたら、手打ちそばなどやってられません)
とはいうものの、冷静に周囲を見回しますと、水回し(練り)の機器も想像を超える進化を遂げています。

そば粉に加水して練る際、ベストな練り具合を判断するセンサーが取り付けられており、私たちの「10本の指先センサー・掌の感度・経験知」の判断を追いかけ近づいています。(そばは練り足りなくても練り過ぎても美味いものは出来なく、頃合いが極めて難しい食べ物ですので、優れた機械センサーの判断は下手な手打ちそばより美味いものを作れるレベルにきています)

近い将来「水回し」の質においても、機械が手仕事を上回る時が来るかもしれません。
その時はその時で、潔く脱帽したいと心に決めています。

それでも最後に残る私たちの役割と砦

そうなった暁にも、私たちの役割は、依然として残ります。
誇りを持って、次の二つに精進いたしたいと思います。

  • その1 美味いそば粉の生産
  • その2 旨いそばつゆの製造

私たちの「そばの夢」

ここまで色々見てきて、「美味い手打ちそば」のための“美味いそば粉”と“旨いそばつゆ”については、私たち仲間でなんとか頑張れそうです。
ただ、私たちには、「身の程知らず」の夢もあります。

  • とにかく美味いそばと旨いそばつゆを提供したい
  • 可能な限り、沢山の方に食べていただきたい
  • そのため、必要なら機械を導入して量産したい
  • 飛騨へ来られない方のためにも、生麺そばだけでなく乾麺そばも製造・販売したい
  • そば量産のため、そば栽培の農業者を増やしたい
  • そば量産 ⇒ 販売量アップで、裾野を大きくし地元雇用も広げたい
  • 日本食の旨味を解っていただくよう、ムスリムをはじめ世界の方々にも食べていただきたい
  • 地域振興にも貢献し、「三方(農業者・販売者・お客様)よし」も実現したい

現在、量産体制が取れないため、土曜日曜日限定の生麺そば提供になっていますが、下表のとおり量産体制が可能になっても、「のし」「切り」の機械購入資金の確保が最大のネックになります。

詳細
工程 作業体制 問題点
水回し
  • この工程だけは手作業のため、会員および指導済の打ち手により、必要分を手打ちする
  • 量産体制でも、必要量の確保はこの陣容で可能
美味いそばを作るというモチベーションの維持
(美味いものを作る決め手は気持・心のため)
のし
切り
  • 2工程を手作業でやっては、量産はできないし、機械作業の方が質が高い
  • 「のし」「切り」の機械を購入した上で水回しの手作業と連動させれば、毎日営業のための必要量が確保でき、沢山の方々に食べていただける
  • 「のし」「切り」の機械購入の約700万円と機械設置の場所の確保が必要
  • 自己資金がないため、これが最大のネックになる

何とか皆さんの知恵や協力や支援を得ながら、
量産体制 ⇒ 裾野の拡大 ⇒ 地域振興 ⇒ 三方よし に一歩でも近づきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

そば好きの小窓
1章 上手いと美味いと旨い
2章 美味いそばのためのそば粉
3章 旨いそばつゆと材料
4章 最後は“美味いそば粉”と“旨いそばつゆ”
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